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【写真集】後藤徹雄「城壁 石積みの肖像」

【写真集】後藤徹雄「城壁 石積みの肖像」

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後藤徹雄「城壁 石積みの肖像」 後藤徹雄「城壁 石積みの肖像」

 出迎えてくれた石積みが往時をしのばせる。後藤徹雄「城壁 石積みの肖像」。

切り立った石垣と水面に写り込んだ雲が美しい伊賀上野城=三重県伊賀市
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切り立った石垣と水面に写り込んだ雲が美しい伊賀上野城=三重県伊賀市フルスクリーンで見る 閉じる

ページをめくるごとに日本各地の城跡が「おいで、おいで」と誘ってくる。気付けば訪問意欲をかき立てられた。

 本書には四季を通して各地に足を運んだ作者の熱意がみなぎっており作品の構図も実に大胆。

 切り立った石垣と水堀、そして新緑が美しい伊賀上野城(三重県伊賀市)。どう攻めようかと、つい堅固な城を築いた守る側ではなく、攻め手側に感情移入してしまった。

迫り来るスケール感を見事に捉えた備中松山城の石垣=岡山県高梁市 
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迫り来るスケール感を見事に捉えた備中松山城の石垣=岡山県高梁市 フルスクリーンで見る 閉じる

 備中松山城(岡山県高梁市)の石垣は豪快。日本三大山城の天守へ向かう途中での1枚だが、かつて筆者も訪れ、この場所に到達したころには既にヘトヘト。カメラを構える気にもなれなかった。そんな記憶があるなかで、後藤氏は迫り来るスケール感を見事に捉えている。

日本三大三城のひとつの高取城。苔むした石垣が時の流れを感じさせる=奈良県高取町
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日本三大三城のひとつの高取城。苔むした石垣が時の流れを感じさせる=奈良県高取町フルスクリーンで見る 閉じる

 曲りながら続く道の先に咲く桜を写した佐賀城(佐賀県佐賀市)の石垣。雨上がりのしっとりとした空気感とともに、どこかはかなさも詰め込んでいる。さらには秋を切り取った津城(三重県津市)や高取城(奈良県高取城)の石積みも見逃せない。

うっすらと雪化粧した国宝・松江城の石垣。フォトグラファーならではの着眼だ=島根県松江市
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うっすらと雪化粧した国宝・松江城の石垣。フォトグラファーならではの着眼だ=島根県松江市フルスクリーンで見る 閉じる

 また作品にフォトジェニックな視点も多い。積み上げられた石の隙間から差す太陽を写した安土城(滋賀県近江八幡市)の城壁や、うっすらと雪化粧した松江城(島根県松江市)。地元の人間ならともかく、こうしたチャンスを逃さないのがフォトグラファーの眼である。

 初夏を感じさせる陽気が心地よい今日この頃。作者・後藤氏のように、天守にとらわれず、城壁を主役に訪ねてみるのはいかがだろうか。

(竹川禎一郎)

(メモ)後藤徹雄(Tetsuo Goto)。昭和30(1955)年、熊本県生れ。昭和61(1986)年フリーランスとして撮影業務を開始。平成2(1990)年、株式会社ライトスタッフ設立。広告、出版業界において写真撮影に携わる。近年は日本の城郭、特に「石積み」の魅力にひかれ撮影を継続中。

(http://shiroaruki.blog.jp/)

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