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山崎博写真展「計画と偶然」 東京都写真美術館

山崎博写真展「計画と偶然」 東京都写真美術館

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山崎博「OBSERVATION 観測概念」から(1975年、東京都写真美術館蔵) 山崎博「OBSERVATION 観測概念」から(1975年、東京都写真美術館蔵)

 写真の面白さって、こういうことかも-。東京都目黒区の東京都写真美術館で開かれている山崎博(70)の写真展「計画と偶然」は、コンセプチュアルな山崎作品を初期から最新作まで概観できて、その魅力をよく伝えてくれる展覧会だ。

どのように撮るか楽しみ

 会場を入ってすぐ、「OBSERVATION 観測概念」という1970年代に制作されたシリーズが並ぶ。これといって特徴のない住宅街の一角で撮られていて、ほぼ同じ構図。なのに、まったく違う写真に見える。昼、夜、順光、逆光、スローシャッター、階調反転…。展示解説で、すべて自室の窓から撮られていて、あえて構図を限定したうえで、どんな表現が可能なのかに挑んでいるのだとわかる。

山崎博「CRITICAL LANDSCAPE/TEN POINTS HELIOGRAPHY」から(1985年、作家蔵)
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山崎博「CRITICAL LANDSCAPE/TEN POINTS HELIOGRAPHY」から(1985年、作家蔵)フルスクリーンで見る 閉じる

 写真家の関心は「何を撮るか」にはなくて「どのように撮るか」。フィルムカメラを少しずつずらして写し、密着プリント上でパズルのように画像を浮かび上がらせる“ベタ焼きパノラマ写真”は、アイデアを視覚化する面白さをわかりやすく伝えてくる。超長時間露光で太陽の軌跡を描き出す手法は、「HELIOGRAPHY」シリーズなどのように、可能性を追求していく表現のひとつになる。

 「限られた枠組みの中で、多様性や創造性を追求している。明快なことに取り組んでいて、じつはとてもわかりやすい写真家だと思います」と同館学芸員の石田哲朗さん。

 たしかに“制約のなかでの表現”は、写真に限らず映像、音楽、舞台などあらゆる芸術的行為に共通のテーマだ。山崎は「コタツ写真家」を自称していたことさえあるという。

 「外に写真を撮りに行かなくても、コタツの中だって作品は作れる、と。自宅の窓から撮るのもそうですし、作品はほとんど関東圏で撮られていて、あまり遠くには出かけない。一種のミニマリストなんですね」

 「水平線採集」など海を撮った作品群も印象的。同じような構図の水平線や海岸線の風景が繰り返されて、一見すると謎めいているが、作品をまとめて眺めると、写真家の美意識がしっかり読み取れる。

 20代で美術誌などの写真撮影を通じて写真家としての活動をスタート。昨年度まで武蔵野美術大学教授。独創的な作品づくりで知られるが、美術館での個展は初めてだという。(篠原知存)

 5月10日まで。月曜休(5月1日は開館)、一般600円。

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