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【健康カフェ】(136)がんと糖尿病 密接に関係、血糖値チェックを

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【健康カフェ】
(136)がんと糖尿病 密接に関係、血糖値チェックを

 先日来院した60代男性は、別の病院でがんの手術と化学療法による治療を受けていたときに血糖値が上がってしまい、糖尿病の薬を処方されていました。がんについては年2回、検査するだけでよくなり、糖尿病治療のために私のクリニックを受診したそうです。

 データを見ると、化学療法が終わってからは血糖値も安定しています。男性は「せっかく命拾いした体なので大切にしなければ」と気を付けていたそうです。食事など生活習慣の注意点を確認して、糖尿病の薬はやめてみることにしました。

 この男性だけでなく、がんになったことで糖尿病を発症することは珍しいことではなく、がんと糖尿病は密接に関係しています。また、糖尿病の人は、そうでない人に比べ、がんになる人が多いことも知られています。

 韓国の約50万人を対象に、がんと糖尿病の関係を調べた研究結果が6月に発表されました。これによると、約7年の観察期間中、がんを発症した後に糖尿病を発症した人は、がんと関係なく糖尿病になった人に比べ多いという結果でした。体格や血圧など糖尿病のなりやすさと関係する項目を調整しても、がんは糖尿病の発症を35%高めるという結果です。がんと診断されてから2年以内が糖尿病を最も発症しやすく、その後もがんのない人に比べ観察期間中の発症率は高いままでした。がんの臓器別にみると、膵(すい)がんで糖尿病の発症率が最も高く、次いで腎臓がん、肝臓がんの順でした。

 がんになったことで糖尿病を発症するのにはいくつかの理由があります。まず、化学療法を行うときにステロイドを使うことが挙げられます。ステロイドは、インスリンの効きを悪くすることで血糖値を上げることが分かっています。また、抗がん剤の中に血糖値を上げる作用があるものもあります。

 さらに、がんそのものや、がんによってできた炎症から出る物質や、がんで痩せてしまい筋肉が落ちることも血糖値を上げる要因になります。他にもストレスや手術、感染症などが血糖値に影響を及ぼす可能性があります。

 血糖値が上がる恐れがあっても、がんの治療が優先されるのは当然です。ただ、がんは克服したのにひどい糖尿病になったということにならないように、がんの治療中に定期的に血糖値を確認し、糖尿病が判明したときはきちんと治療をしましょう。(しもじま内科クリニック院長 下島和弥)

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