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【平成30年史 変わる働き方(4)】自分なりの「幸せ」選び取る 育児に参加する男性たち

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【平成30年史 変わる働き方(4)】
自分なりの「幸せ」選び取る 育児に参加する男性たち

ワーク・ライフ・バランスをめぐる30年 ワーク・ライフ・バランスをめぐる30年

 19年に政府が経済界、労働界などと定めた「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」は、それまで女性社員に限られていた仕事と家庭の両立の課題を、性別や年齢、子供の有無に関係なく考える方向へと、企業や働き手に意識の転換を求めた。並行して企業では、短時間勤務やテレワークなど、仕事と生活を両立させる制度の拡充を進めた。

 共働き世帯数は29年に1188万世帯となり、専業主婦世帯数の641万世帯の2倍近くにのぼる。一方で、男性の平均給与は9年の577万円をピークに、減少と停滞が続き、28年は521万円に。伸びない収入、共働きの増加…。「家庭のことを優先したい」という意識の拡大は、こんな現実的な背景とも重なる。

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 「24時間戦えますか」とテレビCMが歌う前から定時退社する働き方を選び、以降もWLBの先駆者として知られた東レ経営研究所の元社長、佐々木常夫(73)は「あの当時は長時間労働が当たり前だった。その当たり前をなぜやらないの、と僕に言ってきた人のうち半分くらいは、本音では早く帰りたかったんじゃないかな」と振り返る。では、なぜ大半の人が本音の定時退社を実行できなかったのか。

 「終身雇用で年功序列。横並びで残業しながら仕事をこなせば、何も考えなくても給与も職位も上がっていったから。裏を返せば何が幸せか考えなくてもある程度は幸せを実感できた」

 今はメガバンクも大規模な人員削減計画を打ち出す時代だ。「大きな会社も安泰ではなくなった。不安の時代だ。そんな心もとない状態ならば、自分なりの幸せを見つけようとなるだろう」

 良い制度はあるのに、男性会社員の育休取得率が低迷するのは「企業風土や上司の理解が追いついていないから」と佐々木はいう。

 生き方と働き方を自ら考えて実行する黒田の世代が管理職となるのは数年先だ。「その頃からいい循環が少しずつ始まり、仕事と生活の調和はもっと進むかもしれないね」(敬称略)

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