産経ニュース

【話の肖像画】歌手・俳優 ピーター(4) 黒澤映画で素顔の池畑慎之介に

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【話の肖像画】
歌手・俳優 ピーター(4) 黒澤映画で素顔の池畑慎之介に

歌手・俳優のピーターさん(佐藤徳昭撮影) 歌手・俳優のピーターさん(佐藤徳昭撮影)

 それまで素顔でスクリーンに出たことはなく、「ピーターらしくない」との声もありました。でも私としては、これまでのイメージを払拭することができ、肩の荷が下りたように楽になったんです。この時のクレジットは「ピーター」のままでしたが、私としては本名である池畑慎之介で演じることができた。ピーターという“着ぐるみ”を最初に脱がせてくださったのは黒澤先生なんです。

 〈この作品を契機に、俳優業は「池畑慎之介」、歌手・タレントは「ピーター」、そして、舞踊家「吉村雄秀」として幅広い活動を展開する〉

 父との確執はありましたが、舞うこと自体は好きだったので、吉村流の名取としての活動は続けていました。平成10年に父が亡くなった際、雄秀の名前は返上してしまいましたが、いろいろな名前を使い分けることで仕事の幅が広がっていきました。

 だけど、ピーターの名が私の活動を制約している、と感じることが多くなっていました。カタカナの名前では、たとえば時代劇など、ドラマや舞台でさまざまな役を演じるときに違和感があります。それに、何をしても「『夜と朝のあいだに』を歌っていた子だ」と言われる。ピーターの名で有名になったことへの後始末の付け方に悩まされました。

 ピーターや池畑慎之介の名を使い分けたり、男役も女役も演じ分けたりしてきたことで、私はずいぶんいろいろなことを経験することができ、他人よりも人生の喜びを多く得られたとは思います。けれど、何だか肉体的についていけなくなってきた。それは確かかな。(聞き手 三宅令)

「ライフ」のランキング