産経ニュース

「将棋界は創作を超えた!」 人気ライトノベル作家が語る「かつてないブーム」

ライフ ライフ

記事詳細

更新


「将棋界は創作を超えた!」 人気ライトノベル作家が語る「かつてないブーム」

白鳥士郎さんの人気ライトノベル「りゅうおうのおしごと!」1巻(イラスト:しらび、監修:西遊棋 GA文庫) 白鳥士郎さんの人気ライトノベル「りゅうおうのおしごと!」1巻(イラスト:しらび、監修:西遊棋 GA文庫)

人生を変えた作品

 ライバルに先を越されたときの悔しさ、憧れの人に勝ったときの喜び、愚直なまでに将棋盤に向かい続ける純粋さ…。人気の理由の一つは、棋士の赤裸々すぎる感情を真っ正面から描く点にある。棋士たちの感情の発露は、白鳥さん自身の歩みと重なる部分もある。

 作家デビューは、大学院生だった20年。学費の調達に加え、家族の介護のため在宅で仕事をする必要があり、当時ブームが巻き起こっていたラノベ界への門をたたいた。

 すぐに人気作家になれたわけではなかった。同作も1巻の売り上げが伸び悩み、一時は5巻で打ち切られる予定だった。書きたいものを書いたのに売れなかったときの恐怖、自分より年下の作家が先に売れたときの複雑な思い…。こうした負の感情を肥やしとして作品に昇華してきた。

 同作は白鳥さんにとって、「作家としてこれで終わりでもいいと考えるくらい、大切な作品」だという。同作の執筆中、将棋を教えてくれ、父親的存在だった祖父が他界。その1年後、一時期ラノベ作家であることを隠していた白鳥さんを支え続けてくれた母を亡くした。

 「作品が軌道に乗り、ちょうどこれから、という時期に母を亡くしたことは本当につらかった。賞を頂き、アニメ化も決まり、望んでいたものは全て手に入れたはずなのに、実際には自分には何もなかった。この葛藤や、空虚な気持ちも全てこの作品に込めました」

 その一方で、同作を評価する声が次第に高まっていった。28年、将棋ペンクラブ大賞優秀賞を受賞。累計発行部数も伸び、100万部を突破した。昨年には、同作の書店キャンペーンがきっかけで出会った女性と結婚。「やはり、人生を変えた作品ですね」。白鳥さんは笑顔で語る。

 ただ、特有の悩みも多いという。

 「今の将棋界では、想像の世界を現実が少し先取りしている。現実をなぞりすぎないようにしないといけないのが悩みですね。今後も取材を重ね、独自性を出していきたいと思います」(文化部 本間英士)

続きを読む

このニュースの写真

  • 「将棋界は創作を超えた!」 人気ライトノベル作家が語る「かつてないブーム」

「ライフ」のランキング