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【アメリカを読む】米国を覆う「自殺クライシス」 格差国家、景気の恩恵届かぬ現実

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米国を覆う「自殺クライシス」 格差国家、景気の恩恵届かぬ現実

今年6月に相次いで自殺した(左)米ファッションデザイナーのケイト・スペードさんと(右)シェフでテレビ司会者のアンソニー・ボーディンさん。米国では著名人の自殺も続いている(AP) 今年6月に相次いで自殺した(左)米ファッションデザイナーのケイト・スペードさんと(右)シェフでテレビ司会者のアンソニー・ボーディンさん。米国では著名人の自殺も続いている(AP)

 米国で自殺の増加が社会問題化している。自殺者は2016年に4万5000人に上り、1999年と比較すると約30%も増えた。6月には著名人が自ら命を絶つニュースも相次ぎ、米メディアでは「スーサイド・クライシス」(自殺の危機)とも呼ばれるように。ニューヨークや首都ワシントンなどの都市部よりも、景気回復の恩恵が行き届きにくい農村部での増加が著しく、「格差国家」の現実は自殺率からも浮かび上がってくる。(ニューヨーク 上塚真由)

 トウモロコシや大豆の畑が広がり、畜産業も盛んな全米屈指の農業州である米中西部アイオワ。同州マリソン郡のラジオ局で働くロバート・レオナルドさんは4月にニューヨーク・タイムズ紙への寄稿で、トランプ政権と各国との貿易摩擦によって米国内の農業に与える悪影響をリポートし、地元の窮状をこう訴えた。

 「酪農家はとくに、ここ数年来の価格の下落で苦しんでいる。酪農家たちが、自らの生命保険料で飼育場を守ろうと自殺するため、酪農家協会は自殺防止のホットラインを開設したほどだ」

 マリソン郡は2016年の大統領選でトランプ氏が60%以上の得票を獲得し、民主党のクリントン元国務長官に大勝した。米国ではこうした多くの“トランプ州”で、自殺の問題が深刻化している。

 米疾病対策センター(CDC)の報告書によると、米国で10万人あたりの自殺率は1999年に10・5%だったが、2016年には13・4%まで上昇した。

 ほぼ全州で自殺率は上がっており、半数の州は増加率が30%を超える。

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