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島田雅彦さん「絶望キャラメル」 現代の青春を切り開く地方の高校生

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島田雅彦さん「絶望キャラメル」 現代の青春を切り開く地方の高校生

『絶望キャラメル』に収録された漫画(c)東村アキコ 『絶望キャラメル』に収録された漫画(c)東村アキコ

 「ご無沙汰だった青春小説に戻ってきました」。島田雅彦さん(57)が新しい長編『絶望キャラメル』(河出書房新社)で描くのは、停滞する地方都市で夢に向かって走る高校生4人組。大学在学中に青春小説「優しいサヨクのための嬉遊曲」でデビューを飾った作家が、原点回帰といえる題材で「現在」を見つめる。(海老沢類)

                  

 「文学と青春の縁が薄くなった感がある」。今、なぜ青春? 率直に疑問をぶつけると、島田さんは現代において「青春」を描く難しさを語りだした。

 「今や先進資本主義国では『将来何をやったらいいか分からない優等生』が定番です。ただ、結局彼らは確実な路線で給料の高い金融マンになる。それじゃあ波乱がなく、青春小説は成り立たない。蛮勇を振るうキャラが浮く時代です。でも困難なテーマだから取り組む意味があるんです」

 ◆現状打破の力

 舞台は長引く不況で財政破綻寸前の町・葦原(あしはら)。寺の新米住職として帰郷した江川放念は葦原の惨状に驚く。住民の流出に歯止めがかからず絶望感が蔓延(まんえん)。利益誘導政治を主導した前市長らの悪だくみも進んでいた。若い人材の活躍こそ危機を救う-。そう信じる放念は「原石発掘プロジェクト」と題して、4人の高校生に白羽の矢を立てる。

 「天才予備軍は人口比でも少なくないはず。B級グルメでも、ゆるキャラでもない、生きた原石を磨いて育てれば地方は活性化する。フィギュアスケートの羽生(はにゅう)(結弦(ゆづる))君とか将棋の藤井(聡太)君とかね。それに天才は地元に恩返ししたいと思うものです」

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