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【学ナビ】羅針盤 “社会で何をするのか”始まりの場所

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羅針盤 “社会で何をするのか”始まりの場所

専修大学 日高義博理事長 専修大学 日高義博理事長

 □専修大学・日高義博理事長

 日本で初めて経済学と法律学を共に学べる高等教育機関「専修学校」として、1880(明治13)年に誕生し、約27万人の卒業生を輩出してきた専修大学。2020年に創立140周年を控え、目指すは21世紀ビジョンとして掲げる「社会知性の開発」だ。18歳人口が減少し、国際化やAI(人工知能)の台頭など、社会構造が変化するなか、よりしなやかで力強い人材の育成に取り組んでいる。専大の卒業生でもある日高義博理事長に、大学が描く教育の未来像について聞いた。(宮田奈津子)

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 --140周年に向け、来年4月には経営学部ビジネスデザイン学科と文学部ジャーナリズム学科がスタートする

 「両分野とも長年にわたり研究を蓄積してきた実績がある。しかし、社会が変化し、従来の枠組みではカバーできない課題も出てきた。ビジネスは事業拡大の手法やICT(情報通信技術)を活用した事業創造なども学んでもらい、ジャーナリズムは情報文化アーカイブやスポーツ情報戦略なども視野に入れる。研究の枠組みも時代に合わせ柔軟に変えなければいけない」

 --2020年には国際系新学部も構想中だ

 「専大は国際交流にも力を入れてきた。国際交流協定は18カ国・地域24大学、国際交流組織間協定が4カ国11機関。韓国、台湾、中国だけでなく、ベトナムやタイ、ラオスなどアジアとの連携を強化している。こだわるのは言語としての日本語の力。自分の言葉で思考し、発信する力を養うことだ。また、留学生には多くの知見を持ち帰ってもらい、日本との橋渡し役になってほしいと願っている」

 --どのような教育を目指していくのか

 「私は刑法が専門だが、法曹界でもAIが活躍する時代が来るだろう。しかし、条文と時代とでズレが生じたとき、調整を行ったり法解釈ができたりするのは人間だと思う。大学は倫理や規範、思考といった部分をはじめ、感性を磨く場として重要になってくる」

 --理事長も専大の卒業生だ

 「検察官に憧れ、1966(昭和41)年に宮崎県から上京した。早慶など8大学で構成する関東学生法律討論会に熱中し、2年の夏に刑法学者になろうと決心した。進路は決めたが、アルバイトをする時間もなく、生活が苦しかった。専大の仲間たちに食べさせてもらい“人のありがたさ”を学んだ」

 --専大の魅力は

 「先輩や後輩、同級生など、縦横のつながりが強い。卒業生も多く、全国に同窓がいる。専大の卒業生は控えめで、『私が私が!』と前に出ない印象があり、会合などでも、そっと横に来て『卒業生です』と声をかけられたりする。よく話してみると、各分野でしっかりと活躍していることが分かり、誇りに思う」

 --学生たちへのメッセージを

 「学びとは感性を磨くこと。偏差値は大学入試の一つの目安だが、自分をランク付けしてはいけない。成長する時期は人それぞれ違う。歩きたい道があれば、とりあえず歩いてみればいい。不本意なことがあっても、いつか振り返れば一本道であるはず。もしも人生に成績があるのだとしたら、評価されるのは鬼籍に入るとき。専大は“社会で何をするのか”を考える始まりの場所だ」

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【プロフィル】日高義博

 ひだか・よしひろ 1948(昭和23)年、宮崎県生まれ。70年、専大法卒。75年、明治学院大院法学研究科博士課程単位取得退学、専大法専任講師。ドイツ・トリーア大法学部客員教授、専大法学部長、同大学長などを経て、2006年から同大理事長。司法試験考査委員などを歴任。法学博士。趣味は居合道(五段)。70歳。

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