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【本郷和人の日本史ナナメ読み】大隈重信と野球(下) 子規が「野球」を号にした理由は?

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【本郷和人の日本史ナナメ読み】
大隈重信と野球(下) 子規が「野球」を号にした理由は?

正岡子規(国立国会図書館蔵) 正岡子規(国立国会図書館蔵)

 夏目漱石は本名が金之助で漱石は号ですね。漱石門下の俳人にして抜群の毛並みを誇る(母方の祖父が宇和島藩主・伊達宗城)松根豊次郎は、本名をもじって東洋城という号をつけています。号については、理解していただけましたか。なに当たり前なことを、とお怒りかもしれませんが、キチンと分かってないと今回の話のオチが機能しないのです。

 三国志の魏と晋に仕えた孫楚(呉と戦う将軍の幕僚を務めた)は若いときに仕官の話を断った際、ぼくは「石に枕し流れに漱(くちすす)ぐ」、つまり自然の中で清貧に暮らしたいと説明するつもりが、誤って「石に漱ぎ流れに枕す」と言った。でも誤りを指摘されると、「石に漱ぐのは歯を磨くため、流れに枕するのは耳を洗うため」と咄嗟(とっさ)に切り返したのです。仕官を勧めた人は孫楚の機転に感心したのですが、故事成句としては、「失敗を認めず、屁理屈(へりくつ)で言い逃れること。負け惜しみの強いこと」の意味で使われます。江戸っ子・漱石の特質をよく表す号ですね。それから、感心して「さすが!」と言うとき「流石」と当てることがありますが、これも同じ故事によるという説も。

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