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【書評】大和大学専任講師・岩田温が読む『教養のグローバル・ヒストリー 大人のための世界史入門』 新鮮な交易ネットワーク視点

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【書評】
大和大学専任講師・岩田温が読む『教養のグローバル・ヒストリー 大人のための世界史入門』 新鮮な交易ネットワーク視点

『教養のグローバル・ヒストリー 大人のための世界史入門』 『教養のグローバル・ヒストリー 大人のための世界史入門』

 歴史を学ぶ際、重要なのは歴史を眺める視点である。日本史を学ぶといったとき、日本における歴史を学ぶと想定するのが常識だろう。では、世界史を学ぶといったとき、われわれはどのように歴史を眺めているのか。

 私が高校生のとき、世界史を学ぶといえば、各国史の集合体としての歴史を学ぶことを意味した。すなわち中国史、インド史等々をそれぞれ学んだのだ。国民国家の枠組みを過去に当てはめて世界史を解釈していたといってよい。

 本書が興味深いのは、国家や民族の歴史ではなく、「世界中の人々が商業や文化で結びつくネットワークの歴史」として世界史を解釈している点だ。古代から「オアシスの道」、季節風を利用した「海の道」を通じて、多種多様な民族が交易を行ってきた。その交易の広さたるや感嘆に値するものだ。すでに1世紀の時点でローマ帝国とインドのクシャーナ朝が季節風を利用した航海によって交易を行っていたのである。「大航海時代」のはるか以前から、海上交易が盛んだった。

 ネットワークで運ばれるのは商品だけではなかった。製紙法やコーヒーといったさまざまな文化、宗教も世界各地に拡大した。また、時に病気までもが運ばれた。14世紀、ヨーロッパにおいてペストが大流行し、多くの人々が死に至った。元来、ペストはミャンマーの風土病だったものが、ネットワークによってペスト菌がヨーロッパへともたらされたのだ。

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