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【書評】京都大学名誉教授・竹内洋が読む『経済学者たちの日米開戦 秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く』 アッと驚く逆説の謎解き

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【書評】
京都大学名誉教授・竹内洋が読む『経済学者たちの日米開戦 秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く』 アッと驚く逆説の謎解き

『経済学者たちの日米開戦 秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く』 『経済学者たちの日米開戦 秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く』

 私が子供の頃(昭和20年代末)、大人たちはよく戦争を話題にしていた。印象に残ったのは、次のような話だ。日本の国土の20倍以上で、資源と物資が豊富なアメリカと戦争して勝てるはずがない、軍人はそんなこともわかっていなかったのだというもの。

 しかし、やや長じるに及んでこの話にいくらか疑問をもった。観戦武官や大使館付武官などで欧米に派遣された軍人は多かった。それに闘うときに、敵を知り、己を知るのは常道のはず。軍人や当時の指導者はそんなにアホだったのだろうかと。こうした疑問に対しては、答えが用意されていた。本書が対象とする「秋丸機関」のような軍の調査機関は、早くに対英米戦争は資源面の圧倒的落差から負けると結論していたのだが、この結論が無視されたからだ、というものである。

 これは、秋丸機関で日本と英米の経済力を調べあげた有沢広巳東大教授の戦後の発言などによる。だから報告書は上からの指令で焼却され、有沢をはじめ秋丸機関の面々の多くが逮捕されたのだと。本書は、この風説=通説を完膚なきまでに粉砕する。

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