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【書評】慶応大学名誉教授・中条潮が読む『熱海の奇跡 いかにして活気を取り戻したのか』市来広一郎著 「観光はビジネス」の認識を

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【書評】
慶応大学名誉教授・中条潮が読む『熱海の奇跡 いかにして活気を取り戻したのか』市来広一郎著 「観光はビジネス」の認識を

『熱海の奇跡 いかにして活気を取り戻したのか』市来広一郎著 『熱海の奇跡 いかにして活気を取り戻したのか』市来広一郎著

 「民間が利益をあげてこそ、持続可能な街づくりになる」

 本書が一番言いたいのはこの点だろう。評者からすれば、それは当たり前のことである。しかし、この当たり前のことがわからず、あるいは、わかろうとせず、国の援助頼みで観光振興を図ろうとする自治体がどれだけ多いことか。

 それに手を貸す政府もまた、観光はビジネスであり、ビジネスとして成功しなければ意味がないこと、政府の補助金となじむものではないことをわかっていない。

 本書は、ガラパゴス列島日本の代表であるかのように見られてきた熱海が、長期にわたる衰退の後、2010年頃から回復のきざしを見せ始めた理由を、Uターン経営者である著者のカフェやゲストハウスでの経営経験を通じて推測したものである。

 正直に言うと、著者の試みが熱海を復興させたかどうか、その因果関係は評者にははっきりしない。

 だが、重要なのは、もうかるからこそ町は復興するのであり、補助金漬けでは何もかわらないという点だ。また、それに共感する、観光を純粋にビジネスとみて経営に専心してきた人たちがいてこそ、熱海の復興があったこと、そういった人々のビジネス行動と、熱海の観光客回帰が軌を一にしてきたことは確かだ。

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