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【きょうの人】教会群の世界遺産目指し20年・柿森和年さん(71)「昔からの秘密 先人の営み評価された」

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【きょうの人】
教会群の世界遺産目指し20年・柿森和年さん(71)「昔からの秘密 先人の営み評価された」

マリア観音を手にする「禁教期のキリシタン研究会」世話人、柿森和年氏。手前は1700年代半ばに外海で書かれた絹のオラショ=長崎県五島市の奈留島 マリア観音を手にする「禁教期のキリシタン研究会」世話人、柿森和年氏。手前は1700年代半ばに外海で書かれた絹のオラショ=長崎県五島市の奈留島

 長崎の教会群の世界文化遺産登録を目指し、その価値の啓発に20年近く取り組んできた。キリスト教解禁後も潜伏期の信仰を続けた「かくれキリシタン」の末裔(まつえい)。「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として登録が決まり、「先人の営みや信仰が評価された」と喜ぶ。

 近代建築の残る長崎市の東山手・南山手地区が、平成3年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された際、市職員として調査などに従事。建築写真家や文化庁職員らと親交を深めたことが、教会群に着目するきっかけとなった。

 12年に五島列島の奈留島で建築修復学会の開催を実現し、世界遺産登録を提案。翌年、「長崎の教会群を世界遺産にする会」を発足させ、事務局長に就任した。「明治以降の建物の価値が理解されず、無理だとみられていた」。教会群の価値を全国的に共有してもらおうと、首都圏で写真展や講演会などを開き、学術上の評価につながった。

 奈留島の母の実家で生まれた。祖父は洗礼を授ける「水方」を務めていたが、父母が早くから長崎市に出ており、自身は20歳でカトリックに。10年前、奈留島の実家跡に移住。潜伏期の暮らしを解明するため、古文書類の収集や聞き取り調査を続ける。細長い半島の海辺にあり、近づきにくい地形。対岸も「かくれ」の集落だった。

 「昔からの秘密だから、短期の調査では心を開いてもらえない。なぜ信仰をつないできたのかを深掘りするのは、とても大事なこと」。2年前に大学教授らと研究会を設立。消えようとしている歴史が次世代に伝わることを願っている。 (寺田理恵)

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