産経ニュース

【ゆうゆうLife】家族がいてもいなくても(552)人形劇を偏愛する2人

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【ゆうゆうLife】
家族がいてもいなくても(552)人形劇を偏愛する2人

 那須の夜道では車を運転しない、と決めていたのに、夜の9時過ぎに最寄りの新幹線駅まで走った。

 「はるねえさん」を迎えに行ったのだ。彼女は週末に予定していた人形劇の公演に欠かせない人なのだ。

 私には、長年やっても人形操作の才が芽生えないけれど、「はるねえさん」は違う。彼女が手にすると、人形たちに命が宿り、生き生きとし始める。人形のちょっとした動きで、思わず人をクスクス笑わせてしまう「芸」の持ち主なのだ。ゆえに、私は年下の彼女を敬意をこめて「ねえさん」と呼ぶ。

 そんなわけで、東京で仕事を終えて、翌日の公演のために那須にまで来てくれる彼女のことは、迎えに行かねばならないのだ。

 夜の改札口で、新幹線の到着時間の掲示を眺めていたら、「よくぞここまで私に付き合ってくれるなあ」と、ついしんみり。初めて会った頃のことを思い出して、にやにやしてしまった。

 私たちは10年前、フランスのシャルルヴィル・メジエールという町で会った。その町は、2年に1度、世界人形劇フェスティバルが開かれ、世界中から「人形劇」を偏愛する人たちが集まってくるのだ。

 パリから高速鉄道で1時間くらいのところにあり、フランス人からは、「ああ、北の田舎町ね」なんて言われたりしているが、かの有名な詩人、ランボーの生まれたところでもある。しかも国立の人形劇学校がある。

続きを読む

「ライフ」のランキング