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【大学ナビ】針路を聞く 関東学院大学・規矩大義学長

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針路を聞く 関東学院大学・規矩大義学長

関東学院大学の規矩大義学長 関東学院大学の規矩大義学長

 ■今に伝える「人になれ 奉仕せよ」

 源流は134年前、横浜に創立された神学校。その後に設立された中学関東学院の初代院長、坂田祐(たすく)はクリスチャンとして「坂の上の雲」を追った明治人の一人だった。そんな関東学院大学は現在、横浜市金沢区に約1万1千人が学ぶ総合大学で、2022年春には、横浜の都心部に新しい知の拠点となるキャンパスが誕生する。坂田が残した校訓「人になれ 奉仕せよ」の伝統と多彩で先進的な学びをいかに融合させ、今後も有為の人材を輩出してゆくのか。規矩大義(きく・ひろよし)学長によると、そのキーワードは「教養」だという。 (編集委員 関厚夫)

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 --昨年末に設置された防災・減災・復興学研究所は文部科学省の選定を受けた私立大学研究ブランディング事業の中核だと聞いています

 「数々の被災現場を知る工学者として、理系の専門的な知見がなかなか自治体の防災計画に反映されておらず、産・官・学の中でそんな状況を打破するために声を上げることができるのは『学』しかないと痛感していました。また、減災についてはイメージが先行し、データに基づいた具体的な対策が十分ではありません。そして災害からの復興は人間としての尊厳をもって生きることのできる復興になっているのか…。こうしたことを勘案すると、『防災・減災・復興』は、本学がもつ計11学部の総力をあげて取り組むべきテーマであるとの結論に至りました。最終的には研究所の名にふさわしい学問分野を確立し、教育界や社会に寄与したいと考えています」

 〈関東学院大では社会連携教育を重視する一方、欧米やアジア、国内に幅広く留学プログラムを展開。また、「特許権実施等件数」では私学随一の実績を誇る〉

 --就職支援についても聞かせてください

 「新卒採用が『売り手市場』とはいっても、社会に出ることに不安を感じている学生がいることも事実です。こうした状況をふまえたうえで就職支援センターが手厚いサポートを行っています。ただ、『インターンシップに行きました、エントリーシートの指導を受けました、これで就職対策はばっちり』-といった考え方には違和感を覚えています。就活のさいに重要視されるコミュニケーション能力は自分の考えをまとめ、的確に相手に伝えることができるという力。会話力というよりもむしろ文章力です。そこで必要なのはまずは基礎的な、さらには広い教養なのです。そうした教養を学生に身に付けてもらうことが、個人的には最大の就職支援だと考えています」

 〈『坂の上の雲』の主人公の一人、秋山好古(よしふる)麾下(きか)の騎兵分隊長として日露戦争の分水嶺(れい)だった黒溝台会戦、また別に奉天会戦を戦い抜いた後、キリスト者として教育に残りの人生を捧(ささ)げた坂田祐。この初代院長の軌跡を追うように、関東学院大からは小泉進次郎代議士を一例として、各界へとさまざまな人材が育っていった〉

 --最後に貴学、また全国の大学で学ぶ人たちにメッセージを

 「なぜ人は学ぶのか。やはり楽しいから学ぶ、でないと意味がないと思います。では、なぜ楽しいのか。自分の興味や関心を満足させるということもあるでしょうが、偏差値や机の上だけでの勉強とは一線を画したその学びが、社会に繋(つな)がっていると実感できること-それが源泉にあるはずです。と同時に、学びによって教養と見識が身に付き、人間として成長しているということに喜びを感じてほしい。いま、本学の校訓『人になれ 奉仕せよ』についてこう解釈しています。真の意味で社会に貢献できる人になりなさい。でもそれは、一生をかけなければ実現できない。だから生涯、『人』となるために学び続けなさい。学びとは、大学を卒業し、社会に出てからも続けるものなのです-と」

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【プロフィル】規矩大義

 きく・ひろよし 平成5年、九州工大大学院工学研究科博士後期課程修了。関東学院大工学部教授、同大理工学部長などを経て、25年から現職(2期目)。専門は地盤防災工学。54歳。

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