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【ニッポンの議論】共同親権「法的制度の構築不可欠」「導入には多くのリスク」

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【ニッポンの議論】
共同親権「法的制度の構築不可欠」「導入には多くのリスク」

武蔵大学の千田有紀教授(左、桐山弘太撮影)と東京国際大学の小田切紀子教授(右、小野田雄一撮影) 武蔵大学の千田有紀教授(左、桐山弘太撮影)と東京国際大学の小田切紀子教授(右、小野田雄一撮影)

 離婚する夫婦の増加とともに、子供の親権をめぐる配偶者間の紛争が増えている。親権争いで優位に立つため、子供の“連れ去り”や、家庭内暴力(DV)の捏造の横行なども指摘されている。こうした中、これらの問題を解消し、積極的な「面会交流」の実施などで親子の断絶を防ぐ方策として、日本にも共同親権を導入すべきだとの声が強まっている。共同親権導入は是か非か-。家族問題に詳しい東京国際大の小田切紀子教授と武蔵大の千田有紀教授に聞いた。(小野田雄一)

東京国際大教授 小田切紀子氏

 -なぜ日本は先進国で唯一、単独親権を採用しているのか

 「日本的な家父長制の伝統を反映したものだ。第二次大戦前の家父長制では、子供は家、すなわち家長である父親に属すものであり、夫婦が離婚すれば妻は子供を置いて家を出るのが普通だった。先の大戦後、男女平等がうたわれ、さらに世界的な女性権利拡大運動の動きが高まった。その結果、離婚や別居後も父親と母親が子育てに関わるようになった。しかしそうした変化はあったものの、伝統も重視され、単独親権制度は改められてこなかった」

 --近年、親権争いで優位に立つため、子供を相手親に黙って連れ去ったり、相手親による虚偽のDVを訴えたりする事例が社会問題化している

 「親権争いが起きた際、裁判所は従来、子供は母親が育てる方が望ましいとする『母性優先の原則』や、現在の養育環境を変えるのは子供の利益に反するとする『継続性の原則』などを重視して判断してきた。しかしその結果、そうした判断基準を逆手に取り、親権を得るために“子供を連れ去り、その理由として相手親のDVをでっち上げる”という手法が横行するようになった。こうした事態は、本当にDVに悩む被害者の救済にも悪影響を及ぼす。社会的に問題が認識され始めたのは良いことだ」

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