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【編集者のおすすめ】NHKキャスターの取材ノートまとめた一冊 『激動の世界をゆく 大越健介取材ノート』大越健介著

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【編集者のおすすめ】
NHKキャスターの取材ノートまとめた一冊 『激動の世界をゆく 大越健介取材ノート』大越健介著

『激動の世界をゆく 大越健介取材ノート』大越健介著 『激動の世界をゆく 大越健介取材ノート』大越健介著

 本書は、4月からNHK「サンデースポーツ2020」キャスターに就任した大越健介氏が、BS1の人気番組「激動の世界をゆく」の克明な取材ノートをまとめた渾身(こんしん)の一冊です。

 ベルリンの壁崩壊以降、グローバリズムの嵐が世界を席巻し、あらゆる垣根が取り払われようとしました。しかし今、世界では、民族至上主義、自国第一主義が声高に叫ばれ、紛争も絶えません。世界各地で新たな壁がせり上がってきているのが現状です。

 壁の正体とは何か? 大越氏の取材ノートが、その謎に迫ります。

 「北朝鮮の今」を探るため厳寒のロシア・ウラジオストクを訪ね、メキシコとアメリカ国境で壁に遮られた家族を追う。民主主義とは何かを議論する台湾の若者たちの声に耳を傾け、大国ロシアと対峙(たいじ)するバルト三国では純粋な愛国心に触れます。

 寛容のイスラム・インドネシア、独立を模索するスペイン・カタルーニャ、ポピュリズムに翻弄されるオランダ、大いなる可能性を秘めた「もったいない国」カザフスタンのリポートなど読み応えは十分です。

 一貫しているのは、徹底した「現場主義」。実際に見たものをそのまま叙述し、人々の肉声を伝える。机上の論を排した小気味いい筆致で「世界の今」が、わかりやすくつづられています。わかりやすいのに深く、深いからこそ読む人の心に響いてくる。「渾身作」の看板に偽りはありません。(小学館・1300円+税)(小学館ライフスタイル局書籍戦略室・今井康裕)

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