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「翻訳小説部門」第1位の「カラヴァル」 「本屋大賞」受賞で実売900部から7200部に

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「翻訳小説部門」第1位の「カラヴァル」 「本屋大賞」受賞で実売900部から7200部に

本屋大賞の翻訳小説部門を受賞した『カラヴァル 深紅色の少女』の翻訳者、西本かおるさん =4月10日、東京都港区の明治記念館(佐藤徳昭撮影) 本屋大賞の翻訳小説部門を受賞した『カラヴァル 深紅色の少女』の翻訳者、西本かおるさん =4月10日、東京都港区の明治記念館(佐藤徳昭撮影)

 今年4月の本屋大賞で、実売900部ながら「翻訳小説部門」第1位に選出されたファンタジー小説『カラヴァル 深紅色(しんくいろ)の少女』(キノブックス)が、着実に部数を伸ばしている。受賞から50日の5月29日現在、約7200部で、同書の売り場を継続する書店も。今月刊行の続編にも注文が殺到し、本屋大賞効果は続いている。

 『カラヴァル』(ステファニー・ガーバー著、西本かおる訳)は17歳のスカーレットが孤島でスリルと謎に満ちた魅惑的なゲームに挑む恋愛冒険ファンタジー。世界30カ国で翻訳出版され、日本では昨年8月に初版3500部で刊行も、ほとんど注目されず、出版元によれば、受賞前の実売部数は約900部だった。

 平成24年に始まった翻訳小説部門は大賞同様、書店員の投票で選出するが、歴代の1位作品の受賞前部数は同年の『犯罪』(東京創元社)が2万6000部、29年の『ハリネズミの願い』(新潮社)が6万3000部など。今回は異例の少なさだったが、堂々の受賞。投票した書店員たちからは「ワクワクドキドキが止まらない」「極上のエンターテインメント」などの推薦コメントが続々と寄せられた。訳者の西本かおるさんは「『ハリー・ポッター』シリーズなどでファンタジー小説にはまった世代が書店員さんになって、支持をいただけたのかも」と話す。

 同賞を運営するNPO本屋大賞実行委員会の浜本茂理事長も「投票数は少ないが、投票者は翻訳小説をしっかり読んでいる。きちんと評価され、その年を代表する作品と言っていい」と結果には信頼を寄せる。

 歴代の1位作品の受賞後部数は、受賞前の1・5~3倍程度だが、『カラヴァル』は受賞前が少ない分、動きも大きい。出版元によれば、ネット通販のアマゾンの売れ行きは受賞前後で40部から490部に、書店の実売部数も875部から6700部となっている。

 今月27日には続編『レジェンダリー 魔鏡の聖少女』も出版される。スカーレットの妹、ドナテラが主人公になり、さらなる謎に挑む。すでに書店からの注文は約1万部に達し、出版元では、受賞の効果を実感している。(三保谷浩輝)

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