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【書評】『「海道東征」とは何か』新保祐司著 精神の「心棒」形成のために

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【書評】
『「海道東征」とは何か』新保祐司著 精神の「心棒」形成のために

『「海道東征」とは何か』新保祐司著 『「海道東征」とは何か』新保祐司著

 新保祐司の著作がおよそ一色というより一途(いちず)な気概に彩られていることはよく知られているところだろう。また、このところかれがあの「海ゆかば」から必然的にたどり着いたという同じ作曲家・信時潔の「海道東征」に入れ込んでいることも。

 原理主義の匂いさえ感得させられるその純粋な気概が、この新刊にもみなぎっている。たとえば、いまなぜ「海道東征」なのか、かれはいう。日本民族の叙事詩としてつづられ、うたわれ、かつ奏でられたこの「神武東征の物語」は、日本人にとって歴史の「始原」であり、現在と「歴史」への覚醒に結びついている。よってその「始原」が日本人の心にいきいきと浮かんでこなければならないだろうし、まさにそのためにいまこそ「海道東征」を聴かなければならないのである。

 さらに、いままさに「戦勝国が拵(こしら)えた国際秩序が『世直し』的な激変を迎えようとしている。国際主義から国民主義へと時代思潮は回帰しつつある。この濁流の中で日本が流されてしまわないためには、日本人の精神に心棒が貫かれていなければならない」。すなわち、「海道東征」が、国民必聴の楽曲となるべきなのは、この精神の「心棒」が形成される経験を与えてくれる音楽だからというわけだ。

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