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【書評】書評家、関口苑生氏が読む『コンタミ 科学汚染』(伊与原新著) 「理性より感情」につけ込む

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【書評】
書評家、関口苑生氏が読む『コンタミ 科学汚染』(伊与原新著) 「理性より感情」につけ込む

『コンタミ 科学汚染』 『コンタミ 科学汚染』

 20年ほど前、『水からの伝言』という写真集が評判になったことがあった。「ありがとう」だとか「愛」などの言葉を紙に書いて見せたり、声をかけたりした水を凍らせると、きれいに整った結晶ができ、その反対に汚い言葉を見せると崩れた結晶になる。

 そんな話を写真とともに紹介した本だった。言葉固有の波動や言霊のエネルギーが、水に情報を転写するからそうなるのだという。

 およそ信じがたい話なのだが、これが感動を呼ぶ“科学物語”として受け入れられ、小学校の道徳授業でも使われたというのだから驚く。

 伊与原新『コンタミ 科学汚染』は小説ではあるが、こうした「ニセ科学」の実際例がいくつも登場する。がん治療の代替療法、えたいの知れない健康食品、環境浄化に効果がある微生物……。これら汚染(コンタミ)されたニセ科学が問題となるのは、多くの場合その背後には金もうけのビジネスがつきまとうからだ。

 ストーリーは、飲むだけでがんが治り、体と精神が健康になるほか、水質改善、土壌改良、果ては放射能除去にも有効だという高額の水や粉末、錠剤を売る企業の正体をめぐって展開する。

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