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【王位継承物語】危機のさなかの継承 立憲君主像を確立したジョージ5世 関東学院大教授・君塚直隆

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【王位継承物語】
危機のさなかの継承 立憲君主像を確立したジョージ5世 関東学院大教授・君塚直隆

英国王ジョージ5世(手前)と馬車でバッキンガム宮殿に向かう皇太子時代の昭和天皇=1921年5月、英ロンドン 英国王ジョージ5世(手前)と馬車でバッキンガム宮殿に向かう皇太子時代の昭和天皇=1921年5月、英ロンドン

 今から1世紀以上前の1910年5月、イギリス国王エドワード7世が突然崩御した。若い頃からの暴飲暴食もたたったとはいえ、68歳の王の寿命を縮めたのは、当時の政界を二分していた「議会法危機」にあった。自由党政権が貴族院の権限を大幅に縮減しようとしていたのに対し、野党保守党はこれを阻止しようとした。前者は庶民院(下院)の多数派、後者は貴族院からの支持を背景に、イギリス政治は大混乱に陥っていたのである。

 その調整のさなかに急逝した老国王に代わり登場したのが、当時45歳になろうとしていたジョージ5世だった。1千年に近い歴史と伝統を持つイギリス議会政治にとって未曽有の事態ともいうべきこのとき、新国王は与野党いずれにも肩入れはせず、公正中立の立場からそれぞれの指導者との話し合いをもった。

 与党側は法案に反対する貴族院を押さえ込むため、「政府側の貴族」を一挙に500人も新設してはどうかなどと無謀な策も計画したが、国王の冷静な判断もあり、この年の12月にイギリス史上初めての1年に2度目の総選挙が行われた。その結果に基づいて、議会法は翌11年夏に無事に成立することとなった。

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