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【正論】戦争は文民統制で止められない 東京国際大学教授・村井友秀

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【正論】
戦争は文民統制で止められない 東京国際大学教授・村井友秀

東京国際大学教授の村井友秀氏(寺河内美奈撮影) 東京国際大学教授の村井友秀氏(寺河内美奈撮影)

 日本では軍人は政治家より好戦的であり、国民は政治家より平和的であると信じられている。したがって、民主主義により政治家が平和を望む国民の声を聴き、文民統制によって政治家が好戦的な軍人を抑えれば戦争を止めることができることになる。果たしてこれは真実か。中印戦争を例にこの命題を検討する。

 ≪強かった政治家と弱かった軍人≫

 インドは軍事政権の経験がない民主主義国家である。インドは他の多くの植民地と異なり、独立戦争ではなく文民政治家が植民地本国と交渉して独立を勝ち取った。したがって、独立の英雄は戦争の指導者ではなく交渉した文民政治家であった。独立の英雄である文民政治家の正統性は高かった。

 他方、インド軍はもともと英国植民地当局が独立運動を弾圧するために創設した組織であり、多くのインド人から英国に奉仕する裏切り者と見なされ正統性は低かった。軍人が政治に介入する余地はなく文民統制は強力に作用した。

 軍人と政府の関係は4つのレベルに分けられる。すなわち、第1レベルは軍事専門家として政府に適切な軍事的助言を行う、第2は軍の意見を採用するように政府に圧力をかける、第3は軍の意見を採用しない政府を倒して別の政府に置き換える、第4は文民政権を打倒して軍事政権を樹立する。民主主義国家では、軍人が第2、第3、第4レベルの行動をとることは許されないが、第1レベルの専門的な軍事情報を政府に助言することは軍人の義務である。

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