産経ニュース

iPS心臓病治療 命を救う再生医療の試金石 高いハードル、安全面で慎重対応

ライフ ライフ

記事詳細

更新


iPS心臓病治療 命を救う再生医療の試金石 高いハードル、安全面で慎重対応

 iPS細胞を使った大阪大チームの治療計画が了承された心不全は、国内で年間20万人が死亡する心臓病の中で最も死者が多い病気だ。iPS細胞による再生医療は患者の命を救う領域に初めて踏み出すことで、本格的な幕開けを迎える。

 人のiPS細胞は京都大の山中伸弥教授が平成19年に世界で初めて作製。多様な細胞を作り出せるため、病気やけがで失われた組織や臓器に目的の細胞を移植し、機能を回復させる再生医療への応用が急ピッチで進んだ。

 患者に細胞を移植する臨床研究は、26年に理化学研究所などが加齢黄斑変性という重い目の病気を対象に世界で初めて実施。これと比べ今回の計画は、はるかに難度が高いという。

 大阪大チームを率いる澤芳樹教授は「疾患が重篤で生死に関わる点が、眼病と異なる難しさだ」と話す。生死と向き合いながら心臓の機能を改善しなければならず、安全面でより慎重な対応が求められる。開胸手術を伴うことから、患者の負担も少なくない。

 細胞1億個を移植

 移植に使用する細胞の数も桁違いだ。加齢黄斑変性では患者1人当たり数万個だったが、今回は患部が大きいことから約1億個にも跳ね上がる。

 iPS細胞は、移植に使った細胞の一部ががん化する懸念があり、使う細胞が多いほどリスクが高まる。心筋細胞にきちんと分化しているかを確認し、未分化の細胞を取り除く手間のかかる作業も増える。分化しなかった細胞がシートに混じってしまうと、がん化したり不整脈が発生したりする恐れがあるためだ。

続きを読む

「ライフ」のランキング