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【書評】京都大学客員准教授・瀧本哲史氏が読む『問題児 三木谷浩史の育ち方』(山川健一著) 未来へのマニフェストとして

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【書評】
京都大学客員准教授・瀧本哲史氏が読む『問題児 三木谷浩史の育ち方』(山川健一著) 未来へのマニフェストとして

『問題児 三木谷浩史の育ち方』 『問題児 三木谷浩史の育ち方』

 経営者が自叙伝を書くのは、没落の前兆というジンクスがある。会社の未来が暗いと社長が過去を語りたくなるらしい。実際、昨年本欄で取り上げた本『SHOE DOG』のナイキは女性差別問題で2人の上級幹部が辞任、業績もライバルのアディダスにシェアを奪われている。ヤマト運輸創業者の小倉昌男氏もこのジンクスを恐れて、回想録ではなく「経営学」という一般論にした。

 本書が楽天創業者、三木谷浩史氏の回想録であれば、同じ法則があてはまりそうだが、実はそういう本ではない。この本は経営の話ではなく、幼少期から起業する前の青年期にかけてが中心。かといって輝かしい過去を書いた「英雄神話」でもない。やや大胆にまとめると、父親で経済学者の三木谷良一氏の影響について語った本だ。

 私の父はさまざまな著名人の子女の教育アドバイザーを務めていたので仄聞(そくぶん)したが、実は著名人子女の教育は難しい。ご多分に漏れず、浩史氏も父親からの強い影響とそれへの反発からか数々の「問題行動」を起こし、ついには、文字通りに「切腹」を迫られまでする。しかし、年齢が上がるにつれて両者は和解し、父との議論から生まれた発想が楽天の経営方針に色濃く影響を与えるところに至る。

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