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【書評】作家・黒木亮氏が読む『オリジン(上・下)』(ダン・ブラウン著、越前敏弥訳)…最先端のAIと人類の起源

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【書評】
作家・黒木亮氏が読む『オリジン(上・下)』(ダン・ブラウン著、越前敏弥訳)…最先端のAIと人類の起源

『オリジン(上)』 『オリジン(上)』

 英国のデータ分析会社ケンブリッジ・アナリティカは、人工知能(AI)技術を駆使して米大統領選挙でドナルド・トランプを勝利に導いたといわれ、グーグル傘下のディープマインド社は、AIに学習機能を持たせ、囲碁で韓国のトップ・プロを破った。

 『ダ・ヴィンチ・コード』で、世界的ベストセラー作家になったダン・ブラウンの最新作は、世界を変革しつつある最先端のAIの話と、人類の起源と未来という根本命題を大胆に組み合わせた推理小説だ。

 物語は、米国の若き天才科学者、エドモンド・カーシュが、世界のあらゆる宗教を否定する科学的大発見をし、それを発表するプレゼンテーションの壇上に現れたとき、額を撃ち抜かれるという衝撃的な事件で幕を開ける。かなりの大風呂敷だが、その後も緊張感を持続し、最後まで読者のページを繰る手を止めさせず、しかもきちんと説得力のある着地をする著者の力量はさすがと言うほかない。

 本書の主な舞台はスペインである。モンセラット修道院、ビルバオのグッゲンハイム美術館、バルセロナのカサ・ミラやサグラダ・ファミリアなどが登場する。観光地的な場所が多いのは、読者によって好き嫌いが分かれるかもしれない。ただ描写は念入りで、観光ガイドブックをはるかに超える蘊蓄(うんちく)が傾けられ、説得力がある。

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