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【編集者のおすすめ】いかに上手に枯れるかの修行 『老い力 おいぢから』佐藤愛子著

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【編集者のおすすめ】
いかに上手に枯れるかの修行 『老い力 おいぢから』佐藤愛子著

 今どきの風潮では、女性はいくつになっても元気に、楽しく、美しく、若々しく生きることが一番の価値になっているようだ。しかし、著者は50代頃から老いや死について考え、エッセーにつづってきた。「超現実主義」の著者は、加齢とともに皮膚はたるみ、シワシワ、シミシミになることやボケることが自然ならば、静かにその現実を受け入れるしかないと考える。

 「老い込んではいけない」「死なんて不吉なことを考えてはいけない」といわれても、実際にそれは来るのである。それなら、ジタバタせずに老いと死に備えたほうがよくはないか。ジタバタは苦しい。できるだけ、ジタバタせずに、つつがなく人生をまっとうしたい。

 いかに上手に枯れるか。老年は人生最後の修行の時である。ここに老いゆく覚悟が示される。

 老人には長い歳月の間に培った知恵がある。まわりに寄りかからず、時代に翻弄されず、自分らしく、孤独に耐えて立つ老人になりたい。家族や若い世代に遠慮しすぎず、信頼され、必要とされる年寄りでありたいと願う。

 直情径行、身から出たさびと戦い続けた波瀾(はらん)万丈の人生。人生は苦労があったほうがいい。楽しさを十分に味わうためにも苦労は必要だ、と著者は思う。

 ユーモアあふれる世相風刺と人生の哀歓を描く本書は、ボケをも笑い飛ばす明るさに満ち、共感を誘う。読後に、人生を生き抜く晴れやかなエネルギーが湧いてくる。(海竜社・1000円+税)(海竜社編集部 平山光子)

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