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【科学の先駆者たち】竹市雅俊・京都大名誉教授 細胞同士がくっつく仕組み解明 鍵握る「カドヘリン」を発見

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【科学の先駆者たち】
竹市雅俊・京都大名誉教授 細胞同士がくっつく仕組み解明 鍵握る「カドヘリン」を発見

細胞接着分子「カドヘリン」を発見した竹市雅俊・京都大名誉教授=神戸市中央区 細胞接着分子「カドヘリン」を発見した竹市雅俊・京都大名誉教授=神戸市中央区

 私たちの体は約200種類もの細胞からできている。体の組織や臓器は、心筋細胞が集まって心臓ができるように、必ず同じ種類の細胞同士がくっついて作られる。なぜ細胞は仲間同士でくっつき合うのか。この謎を解く鍵を握る細胞接着分子「カドヘリン」を発見したのが、京都大の竹市雅俊名誉教授(74)だ。

 カドヘリンは細胞の表面にあるタンパク質で、カルシウムが存在すると細胞同士をくっつける働きを持つ。その名前はカルシウムと、英語で接着を意味する「アドヒアランス」という言葉を合わせた造語だ。1982年に発見した竹市さんが、同僚と相談して名付けた。

 全部で120種類以上あると考えられ、同じ種類のカドヘリンを持つ細胞は互いに接着するが、違うカドヘリンを持つ細胞同士は接着しない。心筋細胞と肝細胞は、それぞれ異なるカドヘリンを持つため、間違って接着することはない。

 カドヘリンは、こうした多細胞生物に欠かせない重要な役割を担うだけでなく、がん治療などの研究でも大きな注目を集めている。がん細胞の多くはカドヘリンの機能が低下または消失しており、ばらばらになって他の臓器に運ばれることで、転移するらしいことが分かってきたからだ。

 カドヘリンの仕組みがさらに詳しく解明され、細胞同士を強く接着させる方法が分かれば、がん転移の予防につながる可能性がある。

 さらに近年は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の培養にもカドヘリンが深く関わっているとされ、再生医療の分野でも重要性が高まっている。

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