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【科学の先駆者たち】村井真二・大阪大名誉教授 有機合成の新時代を開拓、炭素と水素の切断法発見

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【科学の先駆者たち】
村井真二・大阪大名誉教授 有機合成の新時代を開拓、炭素と水素の切断法発見

炭素と水素の切断法を発見した村井真二・大阪大名誉教授=奈良県生駒市(草下健夫撮影) 炭素と水素の切断法を発見した村井真二・大阪大名誉教授=奈良県生駒市(草下健夫撮影)

 薬や繊維などに広く使われ、暮らしに役立っている有機化合物は多くの原子が結合してできている。大阪大の村井真二名誉教授(79)は、炭素と水素の結合を切断して新たな化合物を作り出す画期的な手法を発見し、有機合成の新時代を切り開いた。

 有機化合物はプラスチックや衣類、医薬品などの形で私たちの生活に浸透しており、科学技術や産業の根幹を支えている。その合成法を追究する学問を有機合成化学と呼ぶ。いかに単純な工程で、無駄なく思い通りのものを作り出せるかが研究の鍵を握る。

 炭素と水素の結合は、有機化合物の構造で非常にありふれたものだ。ここを切り離し、別の物質をつなぎ合わせると、さまざまな化合物を作ることができる。しかし、炭素と水素は互いに電子を共有して強く結びついているため、切断は困難というのが常識だった。

 切断方法の研究は1960年代に米英で先行したが、多くの工程が必要で、不要な副産物がたくさんできるなど実用化にはほど遠い。効率のよい方法を見つけるには膨大な試行錯誤が必要とみられ、研究は行き詰まった。

無駄のない「近道」

 こうした中、村井さんは別の研究で得た独自の経験を基に、ルテニウムという貴金属の化合物に着目。反応を促す触媒にこの物質を使うと、たった1回の反応で炭素と水素を切り離せることを発見し、1993年に発表した。

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