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【モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら〈24〉】切り出された言葉にご用心

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【モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら〈24〉】
切り出された言葉にご用心

財務省セクハラ問題野党合同ヒアリングの冒頭、「#Me Too」のメッセージを掲げる野党議員(春名中撮影) 財務省セクハラ問題野党合同ヒアリングの冒頭、「#Me Too」のメッセージを掲げる野党議員(春名中撮影)

断片の利用には大きな落とし穴

 コレージュ・ド・フランス教授のアントワーヌ・コンパニョンが『随想録』入門用に書いた『寝る前5分のモンテーニュ』(白水社)のまえがきで痛烈な言葉を吐いている。《モンテーニュの文章をぶつ切りにして、その断片を利用しようとする者は、即座に嘲笑の的となり、「能なし」扱いされた》

 英国の研究者ピーター・バークは『モンテーニュ』(晃洋書房)で《彼はどっちにでも解釈でき、反語的であることを好んだ》《我々は彼を取り巻いた社会的・文化的環境のなかに彼を戻さなければ、彼を少しも理解することはできないであろう》と、文脈から切り離した安易な引用と解釈に警告を与えている。

 このコラムでモンテーニュの言葉を切り出して紹介している私は、いつ「能なし」と礫(つぶて)を投げつけられてもおかしくはない。そうならないよう、全巻を丁寧に2回読み(「たったの2回」と言うなかれ!)、専門家である関根秀雄さん、原二郎さん、保苅瑞穂さん、宮下志朗さんらの著作を参考にしながら、慎重に作業をしているつもりだが、浅学非才の身ゆえ、とんでもない間違いを犯している可能性は十分にある。

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