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京都で巡るイタリアの色風景「色彩の画家 オットー・ネーベル展」

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京都で巡るイタリアの色風景「色彩の画家 オットー・ネーベル展」

「ナポリ」(「イタリアのカラーアトラス」より)1931年、インク、グアッシュ・紙、オットー・ネーベル財団蔵 「ナポリ」(「イタリアのカラーアトラス」より)1931年、インク、グアッシュ・紙、オットー・ネーベル財団蔵

 とんでもなく多才なスイス人画家、オットー・ネーベル(1892~1973年)の初めての大回顧展「色彩の画家 オットー・ネーベル展 シャガール、カンディンスキー、クレーとともに」(産経新聞社など主催)が、京都市中京区の京都文化博物館で開催中。6月24日まで。(正木利和)

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 ■知られざる多才 多彩な顔

 ベルリン生まれのネーベルは建築を学び、20歳でベルリン工科大拡張工事の現場監督に。同じ頃、俳優修行もしたが、第一次世界大戦勃発でデビューはかなわず、兵士として前線に。そこで捕虜となり、英国の収容所で拘留されている間、詩を編んだりもしている。

 帰国後、画家として活動するが、初期作品の大部分は第二次大戦のベルリン大空襲で失われた。ただ、風景のなかに人間や動物が溶け込んだ「山村」などの当時の作品には、超現実主義の画家、マルク・シャガール(1887~1985年)の影響が色濃い。

 しばらくゴシック建築などに関心を寄せ、不透明水彩を用い細かい線を重ねるハッチング技法で建築的な絵画を描いたが、1931年、滞在したイタリアで自らの視覚体験を一定の色彩と対応させて「イタリアのカラーアトラス(色彩地図帳)」という色の図鑑をつくる。ローマやナポリなどの都市名に色を組み合わせて作られたその図鑑は、のちの制作の尺度になった。

 また、モザイク技法を使って人物や街を描いたり、音楽用語に触発された抽象画に取り組むなど、さまざまな角度から絵画の可能性に挑んだ。

 戦後、俳優として舞台に立ち、自分の詩をレコードに録音したりしながら、古代ゲルマン人の文字であるルーン文字などに触発された作品を残す。線と色と形でことばの世界を作る「文字」はネーベルの後半生のよりどころだったのだ。

 「多才」と「多彩」が同義に思える生涯。果たしてネーベルは何者だったのか。展示には、その答えを読み解く愉しみも隠されている。

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 ■クレー、カンディンスキーらと交流

 ネーベルは、ベルリンに作られた芸術と建築の学校、バウハウスの教師として招かれたパウル・クレー(1879~1940年)、ワシリー・カンディンスキー(1866~1944年)ら著名な画家とも交流をもった。

 クレーはのちに大学教授となるが、ナチスの政権掌握により1933年にスイスへ逃れ、ひと足先にベルンへ移住したネーベルとは亡くなるまで交友した。また、抽象絵画の先駆者、カンディンスキーは、ベルンでの制作・就業禁止という苦しい時代を送るネーベルを米国・グッゲンハイム財団に紹介した。その後、同財団は彼の作品を毎年買い上げ、支え続けてくれた。

 Bunkamura ザ・ミュージアムの廣川暁生主任学芸員は「日記の画家の集まりのことをしるした部分を読めば、ネーベルが自分に閉じ籠もるタイプではなくエンターテインメント性にあふれた人だとわかる」と語る。

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 ■クロマチックハーモニカ コンサート 6月2日(土) 午前11時~、午後1時30分~ 各回約1時間

 ・演奏者=岡直弥氏(ハーモニカ奏者)

 ・会場=別館ホール、要事前申込(先着:200人)参加費無料、要展覧会チケット

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 ■親子で楽しむカラーアトラス 5月3日(木・祝)~6日(日)楽しく色鮮やかにぬり絵をしよう

 ・場所=3階やすらぎコーナー(展覧会場内)

 事前申し込み不要、参加無料(ただし、当日の入場者に限ります)

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 ■ナイトミュージアム じっくり貸切&おしゃべり鑑賞会5月12日(土)午後6時15分~8時30分(先着:100人)

 参加費:1800円(イープラスのみで販売)

 ブックカフェ「6次元」店主でアートディレクターのナカムラクニオ氏によるギャラリートーク&鑑賞会。閉館後に展覧会の見どころ解説やネーベルの詩の朗読を行う

※詳しくは同館ホームページをごらんください。

 ▼「京都文化博物館」( http://www.bunpaku.or.jp )

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 【会期】4月28日(土)~6月24日(日)

 【休館日】月曜日(ただし、4月30日、5月1日は開館)

 【会場】京都文化博物館 京都市中京区三条高倉((電)075・222・0888)

 【開室時間】午前10時~午後6時、金曜は午後7時30分まで(入場は閉室の30分前まで)

 【観覧料】一般1500円、大高生千円、中小生600円

 【アクセス】地下鉄「烏丸御池」駅下車徒歩約3分

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