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【明治の50冊】(13)西郷隆盛「南洲翁遺訓」 「敬天愛人」に秘めた凄み

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【明治の50冊】
(13)西郷隆盛「南洲翁遺訓」 「敬天愛人」に秘めた凄み

西郷隆盛肖像(国立国会図書館蔵) 西郷隆盛肖像(国立国会図書館蔵)

 明治維新の立役者ながら、西南戦争に敗れ逆賊として最期を迎えた西郷隆盛。死後13年を経た明治23年に刊行されたその語録『南洲翁遺訓(なんしゅうおういくん)』は、名高い「敬天愛人(けいてんあいじん)」の言葉をはじめ、著書を残さなかった西郷の思想を具体的に伝える唯一の書物だ。

 今年の大河ドラマの主人公となるなど、現在も衰えない人気を持つ西郷。その人望は、存命中からすでに絶大なものがあった。

 本書の一風変わった成立事情からして、西郷の人格的魅力抜きには成り立たない。実はこの語録を編んだのは薩摩人ではなく、戊辰戦争で奥羽越列藩同盟の一員として西郷と敵対した旧庄内藩の関係者なのだ。

 開戦のきっかけとなった江戸薩摩藩邸の焼き打ちを実行した庄内藩は、敗戦後に厳しい報復を受けることを覚悟していたが、官軍の処置は予想に反して非常に寛大だった。これが西郷の指示によるものと知った庄内藩士たちは感銘を受け、旧藩主自らが鹿児島の西郷の下に赴いて薫陶を受けるなど親しく交わった。この際に彼らが聞いた話をまとめて、明治22年の大日本帝国憲法発布時の大赦で西郷が名誉回復された後に書籍として刊行したのが『南洲翁遺訓』だ。

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