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【書評】天皇への愛と苦悩の生涯 『孤高の国母 貞明皇后』川瀬弘至著

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【書評】
天皇への愛と苦悩の生涯 『孤高の国母 貞明皇后』川瀬弘至著

 昭和天皇の母宮、貞明皇后については一般にあまり知られていない。本書は昨年3月から9月まで産経新聞に連載されたノンフィクション「朝けの空に」を大幅加筆したもので、新たな貞明皇后像を活写している。

 名門の公家に生まれた貞明皇后は、日に焼けて肌が浅黒く、健康なことが理由で皇太子妃に抜擢(ばってき)された。皇太子(後の大正天皇)は明治天皇のお子さま15人の中で唯一育った男子。ご本人も病弱で、政府や宮中は皇統の存続を願って妃を選定した。15歳で結婚した節子妃は間もなく懐妊し、裕仁親王(後の昭和天皇)を出産。以後、後の秩父宮、高松宮、三笠宮を出産し、皇統を盤石にする。

 だが、新婚生活は順風ではなかったようだ。皇太子が東京を離れることが多く、すれ違いが続く。古参の女官との軋轢(あつれき)もあり、27歳で病に倒れてしまう。が、この経験が皇太子妃を強くした。

 皇后になってからは天皇を懸命に支えた。天皇も皇后を愛し、頼りにした。しかし、結婚以来、健康だった天皇が発病する。言語障害などが著しくなると、政府は裕仁皇太子を摂政にすべく欧州遊学を計画する。

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