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【書評】『プリーシヴィンの日記 1914-1917』 50年にわたり書かれた日記…文学作品に劣らぬ価値

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【書評】
『プリーシヴィンの日記 1914-1917』 50年にわたり書かれた日記…文学作品に劣らぬ価値

『プリーシヴィンの日記 1914-1917』 『プリーシヴィンの日記 1914-1917』

 プリーシヴィン(1873~1954年)は、モスクワの南300キロの地方都市で商人の家に生まれた。中学放校や、革命運動での逮捕もあったが、ドイツ・ライプチヒ大学哲学部農学科で学び農業技師となる。農学者にして哲学者、思索家というのが彼の生涯の肩書で先駆的エコロジストとも評価される。

 文学面では、ロシア固有の民間伝承の伝統に惹(ひ)かれて自然に関する宗教的、道徳的問題の考察へと沈潜してゆく。彼がテーマとしたのは、文明に汚染されずに残った僻地(へきち)の自然そのものと、そこに暮らす人々の生活であった。

 結婚し、家族を持った後も街中に住むことを好まず、小型トラックで移動する隠遁(いんとん)者的、反文明的な放浪生活を送る。政治的にはレーニンを「悪の化身」と認めながらも当局の粛清や迫害を招くような行動には走らなかった。用心深い生活者だったのだ。

 1907年に『森と水と日の照る夜』を発表。以後、森や原野を訪ねて見事に描写した作品-『ロシアの自然誌』『森のしずく』『巡礼ロシア』『プリーシヴィンの森の手帖』『裸の春』など-で、その名を不朽にした。

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