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【アート 美】「浜田知明」展 諧謔に包み描く人の愚かさ

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【アート 美】
「浜田知明」展 諧謔に包み描く人の愚かさ

「月夜」1977年 エッチング、アクアチント(町田市立国際版画美術館蔵) 「月夜」1977年 エッチング、アクアチント(町田市立国際版画美術館蔵)

 自らの戦争体験を通して、社会や人間を鋭く見つめ表現する版画家、浜田知明。昨年末、100歳を迎えた大家の画業をたどる展覧会が東京の町田市立国際版画美術館で開かれている。

 浜田の銅版画は深刻なテーマにもかかわらずどこかユーモアがある。例えば銅版画「初年兵哀歌(銃架のかげ)」。家具も何もない寒々とした部屋の隅には銃が立てられている。銃の影がかかる床に横たわるのは、のっぺりとした有機的な形の生き物。芋虫が巨大化したような姿だが、動けないようにピンで留められているものもいる。口を思わせるものはない。何も叫べず、自由を奪われている。入隊してまもない兵隊をイメージしたという。滑稽な造形の中に、過酷な状況に置かれた人間の追い詰められた悲壮感が白黒の画面に潜む。

 代表作となった「初年兵哀歌」シリーズの1点だ。浜田は東京美術学校(現・東京芸大)卒業後に軍隊生活を経験している。美術学校では油彩画を学んだが、32歳のとき、仲間の版画家と交流しながら本格的に銅版画制作を開始した。このシリーズは昭和26年から発表され、29年までに十数点が制作された。中には銃口を喉元に向け自殺をしようとする兵隊を骸骨の姿で描いた「初年兵哀歌(歩哨(ほしょう))」や平原に横たわる死体を捉えた衝撃的な作品も多い。

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