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【書評倶楽部】女優・東ちづる むしろこれからの被災本…『リスクと生きる、死者と生きる』(石戸諭著)

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女優・東ちづる むしろこれからの被災本…『リスクと生きる、死者と生きる』(石戸諭著)

東ちづるさん 東ちづるさん

 毎日新聞の記者を経て、BuzzFeedJapan(ニュースサイト)記者の著者が書くネットニュースは、「伝えなければ」という気概があふれている。優しくもあり、クールでもあり、時に挑戦的でもあり、どんな長文でもグイグイ読ませるチカラがある。私が芸能界に入って真っ先に教わったのは、「政治と報道は、まずは困ってる人のためにある」ということ。著者はまさにそのジャーナリスト魂を貫いている。

 だからといって、この本はよくあるノンフィクションではない。東日本大震災を「被災者」という言葉や、被害者の数字でまとめたり、答えを見つけようとしたりしない。避難生活からいち早く故郷に帰還した老夫婦、津波で亡くした娘に手紙を書く父、東電の元社員…どれだけ丁寧に向き合えばこれほど信頼され、語ってもらえるのだろうか。

 記者に求められている答えを用意するのではなく、まだ言語化できなかった奥にあった感情を吐露している。そして、寄り添うように引き出した言葉を聴いたまま、見たままを素直につづっている。読み手側もその場に訪れ、その絞り出される声に、一緒に耳を傾けているような感覚になる。ロードムービーのようなノンフィクションだ。

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