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【書評倶楽部】コラムニスト・上原隆 『そしてミランダを殺す』天地がひっくり返るような展開に…

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コラムニスト・上原隆 『そしてミランダを殺す』天地がひっくり返るような展開に…

 空港のラウンジで男がマティーニを飲んでいると、「ここいいですか?」と隣に美しい女が座り、同じ飲みものを注文する。二度と会うことはないと思うと男の口は軽くなった。浮気している妻を殺したいと考えている、と冗談のつもりで話す。「殺されて当然の人間に思えるわ」。女はまじめな顔でいい、手伝いを申し出る。2人が見ず知らずの関係だという点がこの殺人計画の強みなのだと主張する。女はリリー、男はテッド、妻の名前はミランダという。

 冒頭から引き込まれた。

 テッドは投資家で大金持ちだ。派手好きなミランダは夫の金を湯水のように使っている。リリーは大学の文書保管員で、化粧っ気がなく、どちらかというと地味だ。が、見つめていると彼女の奥深い美しさに男たちは気づく。テッドはリリーと何度か会い、計画を練るうちに彼女のとりことなっていく。

 リリーは頭の回転が速く、冷静だ。14歳のとき、家に居候していた画家が彼女を犯そうとした。彼女は画家の性格や心理を分析し、彼の欲望に応えるふりをして誘導し、油断させ、古井戸へ突き落とす。罪悪感はなかった。

 死体さえなければ殺人事件にはならないのだとリリーはテッドにいう。はたして、ミランダ殺しは計画通りに進むのだろうか? そもそもなぜリリーは手伝うといい出したのだろう?

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