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【明治の50冊】(9)二葉亭四迷「浮雲」 苦悩描き、近代小説の原動力に

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【明治の50冊】
(9)二葉亭四迷「浮雲」 苦悩描き、近代小説の原動力に

『浮雲』(第二編)表紙。二葉亭は当時無名だったため、坪内逍遥(雄蔵)名義で出版された 『浮雲』(第二編)表紙。二葉亭は当時無名だったため、坪内逍遥(雄蔵)名義で出版された

 同大文学学術院非常勤講師の長島裕子さんは昨年、文学部2年生の演習で『浮雲』を扱った。

 「言文一致といっても、最初は古文のようで読みにくいのがいつの間にかすらすら。二葉亭ってこんなにおもしろい作品を書いていたのかと、若い人も引きつけられる。自分は何者か、社会とどう対峙(たいじ)するか…。文三が思い悩む姿に学生も一喜一憂。自分も思い悩んでいいんだという安堵(あんど)感もあったようです」

 『浮雲』は未完といわれるが、時代を超えて人々に力を与える普遍性を持ち、岩波文庫版、新潮文庫版でもロングセラーに。『二葉亭四迷伝』などで知られる文芸評論家、中村光夫が昭和16年、岩波文庫版に寄せた解説の一文がしみる。

 〈周囲をながめて見たまえ。文三も昇もなお形をかえて、現代に生きる僕らの身辺に(中略)心の内部に厳として実在するのである〉(三保谷浩輝)

                  

 次回は19日『言海』(大槻文彦)です。

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