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【明治の50冊】(9)二葉亭四迷「浮雲」 苦悩描き、近代小説の原動力に

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【明治の50冊】
(9)二葉亭四迷「浮雲」 苦悩描き、近代小説の原動力に

『浮雲』(第二編)表紙。二葉亭は当時無名だったため、坪内逍遥(雄蔵)名義で出版された 『浮雲』(第二編)表紙。二葉亭は当時無名だったため、坪内逍遥(雄蔵)名義で出版された

 この連載でも何度かふれている明治10年代後半の言文一致運動は、文章を口語的な文体で書こうという文章改革だった。そのうねりのなかで生まれた初の言文一致体小説『浮雲』は第一編が20(1887)年6月、第二編が21年2月に出版、第三編は雑誌上で22年7、8月に発表された。

 二葉亭は第一編執筆時23歳。文学の師で、生涯の友でもあった5歳上の坪内逍遥から「(速記本『怪談牡丹燈籠』で人気だった三遊亭)円朝の落語通りに書いてみたらどうか」などと助言され、翻訳物などで試作を重ねた末の果実だった。

 母を故郷に一人残したまま東京で苦学、下級官吏となったまじめ一途(いちず)な内海文三の苦悩の日々を描いた。文三を取り巻くのは役所の先輩、本田昇、文三が思いを寄せる従妹(いとこ)のお勢(せい)、叔母のお政(まさ)ら。

 昇は何事にも如才ない出世主義者、お勢は美しく、教育もあるが、流行や人に影響されやすい性格。万事に抜け目のないお政は、お勢を文三の嫁にと考えていたが、文三が役所の人員整理で免職になると一転冷たくなる。逆に免職を免れた昇がお勢に接近し、お政もお勢に「本田さんなら、どうだえ?」と…。

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