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【河崎真澄の視線】「アジア人」としての連帯感 若者はすでに動き始めている

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【河崎真澄の視線】
「アジア人」としての連帯感 若者はすでに動き始めている

 その一人で江蘇省出身の戴懿(だいい)氏は、上海理工大のキャンパスで行われた研修メンバー向け講演会で、「1人あたりの国内総生産(GDP)が1万ドルの水準に近づいた今の中国経済や社会は、1980年ごろの日本に近い」と、成長の勢いが醸し出す“時代感”を説明した。

 田辺氏は、「日本やアジア、世界にとって『過去』ではなく『未来の共有』をコンセプトにする必要がある」と強調した。とはいえ同じアジアでも、経済情勢や人々の意識は千差万別。宗教や歴史観も複雑にからみ合う。未来をどう共有すべきなのか、容易なことではない。

 悩ましい“コンセプト”だが、若い世代はすでに、自分たちの方法で新たな試みを始めている。鈴木さんはスマホの写真共有アプリ「インスタグラム」上の交流を例に挙げた。「『インスタ映え』するサーフィンやファッションなどの画像をきっかけに、共通の関心をもつ人たちが自動翻訳機能も使いながら、国境や国籍とは関係なく、夢を語るコミュニティーを作るのがブームだ」という。

 インスタグラムは中国の若者にも静かに広がっている。とくにファッションセンスや化粧のしかたなどは、肌の色やスタイルから、欧米発よりも、日中韓などアジアの流行が共感を呼びやすい。

 政治がからむ国際関係はなかなか解決できなくとも、若いアジア人どうしの連帯感は、WAAのような交流とITツールによって意外と早く構築されていくのかもしれない。(上海支局長・河崎真澄 かわさき ますみ)

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