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【書評】神戸大名誉教授・吉田一彦が読む『サイバー攻撃 ネット世界の裏側で起きていること』(中島明日香著) 激化する「第5の戦場」の実態

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【書評】
神戸大名誉教授・吉田一彦が読む『サイバー攻撃 ネット世界の裏側で起きていること』(中島明日香著) 激化する「第5の戦場」の実態

中島明日香著『サイバー攻撃』(講談社ブルーバックス) 中島明日香著『サイバー攻撃』(講談社ブルーバックス)

 去年の話になるが、アメリカ海軍のイージス駆逐艦が相次いで民間の船舶と衝突事故を起こしたことがあった。そして沖縄でもアメリカ軍のヘリコプターが次々と事故を起こしている。最近でも自衛隊のAH64D戦闘ヘリコプターが、佐賀県で民家に墜落するといった思いもかけぬ事故が発生している。

 そこで一瞬脳裏をかすめたのは、これらの事故は単なる操艦、操縦ミスではないのではないかという思いであった。つまり本書のタイトルでもあるサイバー攻撃の懸念である。そして既に調査は開始されているのかもしれない。

 このサイバー攻撃というのはソフトウエアの脆弱(ぜいじゃく)性を衝(つ)いて行われるもので、想定外の弱点が攻撃の足がかりになる。その仕組みを初心者向きに丁寧に解説したのが本書であって、利便性の背後にある舞台裏を知りたい向きには格好の入門書となっている。

 確かにコンピューターは便利であるから、社会生活のあらゆる部分に浸透していったのも当然で、今やコンピューターのネットワークなしには軍事も含めてインフラが成り立たなくなった。するとその利便性を悪用する動きが出てくるのも当然の成り行きである。明の部分の増大に比例して暗の部分も増殖したのである。それに対してバグハンターといった正義の味方も登場する。本書ではその手練手管の数々を確認して修正する流れが、適切なたとえを援用して解説される。専門用語を会得しつつ、内容をしっかりと理解する必要がある。

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