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【書評】フリーライター・旭利彦が読む『80’s エイティーズ ある80年代の物語』橘玲著 駆け抜けた青春時代

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【書評】
フリーライター・旭利彦が読む『80’s エイティーズ ある80年代の物語』橘玲著 駆け抜けた青春時代

『80’s(エイティーズ) ある80年代の物語』橘玲著 『80’s(エイティーズ) ある80年代の物語』橘玲著

 現在作家の著者は、かつてマスコミ界で知る人ぞ知る編集者だった。本書は1959年生まれの著者が編集者として活躍した82年から95年までの「いまでもときどき思い出す」体験をつづったものだ。

 スタートこそ“日本で初めての海外宝くじ専門誌”で苦汁を舐(な)めたが、立ち上げた編集プロダクションには大手出版社から次々とオファーが入る。マスコミに初めて著者の名を知らしめたのは、手掛けた不良少女向け雑誌が国会で“有害図書”とされ、その結果廃刊に追い込まれた一件。『噂の真相』の岡留安則編集長が「この出版弾圧をぜひ告発すべきだ」と焚(た)き付けるが著者は応じない。全共闘世代とシラケ世代の意識のギャップが行間から滲(にじ)み出る。

 やがて、バブルに向かってまっしぐらの波のなかで毀誉褒貶(きよほうへん)、上下運動の激しい日々を送る。バブル期に仕事と生活の安定を得て、「本はつくれば売れる」感覚を全身で味わったが、編集者の“業”なのか、やがては「出版差し止め仮処分事件」など物議をかもす本や雑誌を手掛け出す。安定を潔しとしない姿勢はハラハラさせる。

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