産経ニュース

【書評】慶応大名誉教授・中条潮が読む『新・日本の階級社会』橋本健二著 「アンダークラス」階層固定化の衝撃

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【書評】
慶応大名誉教授・中条潮が読む『新・日本の階級社会』橋本健二著 「アンダークラス」階層固定化の衝撃

『新・日本の階級社会』橋本健二著 「アンダークラス」の衝撃 『新・日本の階級社会』橋本健二著 「アンダークラス」の衝撃

 本書は、所得階層の固定化が考え方や精神的な格差をも伴う階級階層化にまで発達し、「アンダークラス」と著者が呼ぶ新階級が形成され、これが排外主義などの社会的コストを発生させているとの主張を、データに基づいて展開している。

 経済学は所得再分配の必要性を「貨幣の限界効用」「所得分配の社会欲求財的性質」、本書の主張する排外主義のような「社会的コスト」によって説明してきた。

 多くの国で派生している排外主義も、不十分な所得分配の結果としての「金銭的かつ精神的に満たされないアンダークラス」の鬱憤ととらえることもできよう。

 所得の厳しい世帯の多い大学で教えていると、本書のいう「アンダークラス」的な階層の固定化を実感する。

 学生たちに能力がないわけではない。しかし、放置しておくと、どんな優れたプログラムを用意しても、のってこない。域外・海外に出ていこうという欲求も小さい。所得差が学校差となり、考え方が固定化して自信を喪失してしまっているのだ。

 階層固定化をもたらした理由として、本書は、為政者側・高中所得層が「自己責任論」を言い訳に再分配を怠ってきたことをあげている。

続きを読む

「ライフ」のランキング