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【書評】正々堂々、甘い迷路に誘う 『歴史をつくった洋菓子たち』長尾健二著

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【書評】
正々堂々、甘い迷路に誘う 『歴史をつくった洋菓子たち』長尾健二著

『歴史をつくった洋菓子たち』長尾健二著 『歴史をつくった洋菓子たち』長尾健二著

 □『歴史をつくった洋菓子たち キリスト教、シェイクスピアからナポレオンまで』

 この本でいう洋菓子とは西洋、つまり西ヨーロッパのお菓子のことを指しているのだが、地域の特定以前に洋菓子という響きに心惹(ひ)かれた。今どきのスイーツではなくて、やっぱり洋菓子。ある世代以上の方々には共感を覚えていただけるに違いない。近所のコンビニエンスストアやスーパーで手軽にケーキが買えるようになる前は、洋菓子店かデパートでなければ手に入らなかった。洋菓子という言葉にはそのころの夢と憧れ、高揚感が詰まっている。

 著者は洋菓子専門誌の編集に30年近く携わってきた。退職後、フランス料理を中心とする食文化史の研究や、洋菓子に関する資料収集に力を注いでいる。この本ではタルト・タタンやエクレール、マドレーヌ、サヴァラン、パンプキン・パイ、ビュッシュ・ド・ノエルといった数々の有名な洋菓子の由来と歴史が描かれている。が、単なるエピソード紹介ではなく、定説といわれるものも、まずは原典にあたり、疑問点があれば根拠とともに明示している。その正々堂々とした姿勢に胸のすく思いがする。

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