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【聞きたい。】伊吹有喜さん『彼方の友へ』 今も昔も変わらないもの “戦争の時代”のお仕事小説

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伊吹有喜さん『彼方の友へ』 今も昔も変わらないもの “戦争の時代”のお仕事小説

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 「まさに戦争を知らない子供ですから、正直悩みました。戦争のことが書けるのかどうか」。『彼方(かなた)の友へ』は、少女雑誌の編集部を舞台に女性の主人公が奮闘するお仕事小説であると同時に、昭和12年から20年という“戦争の時代”を描いた小説でもある。

 「ただ、読者に良いものを届けたいという気持ちはわかる。それはどんな仕事でも、今も昔も変わらないはず。大事なもの、好きなものがあって、それが制限されてしまったとき、どう生きていくのか。大切なものを守るために、なにができるのか。そこに着目しました」

 資材だけでなく思想さえ厳しく制限され、ついには休刊を余儀なくされる逆境のなか、出版文化を守り抜こうとする編集者たちの姿が心を打つ。多くの犠牲を払いながら生き延びた主人公たちは、戦争直後に再刊を決意するのだが、焼け跡のシーンは最初から書こうと決めていた場面のひとつだという。執筆のための取材で、実際に本や雑誌が飛ぶように売れたことを知った。

 「日本ってすごいなって思いました。何もない時代に、ご飯を我慢しても本を読みたいという人がいた。抑圧されていた子供たちに本を読ませたいと考える人がいた」

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