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【書評倶楽部】作家・演出家・わかぎゑふ 『潔白』青木俊著 光あれば闇あり  

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【書評倶楽部】
作家・演出家・わかぎゑふ 『潔白』青木俊著 光あれば闇あり  

作家・演出家のわかぎゑふさん 作家・演出家のわかぎゑふさん

 先日まで大阪の松竹座で上演されていた「泣いたらアカンで通天閣」という芝居の脚本と演出を担当していた。

 新世界のラーメン屋の父と娘に起きる日々の物語で、私にとっても久々の人情劇だった。ハッキリ言って何も特別な仕掛けはなかった。時代劇のような華やかな衣装や殺陣もないし、劇中歌はあったがショーというわけではない。主演の赤井英和に至ってはずっとジャージー姿である。

 集客に効果的だといわれるような要素はほぼないに等しかった。なのにお客さんはどんどん増えて、ついには超満員となった。なぜだろう、と思ったが、おそらく登場人物がみんな「ええ人」だったからだ。「人情」が仕掛けになったわけである。

 しかし、もし逆に人の情というものを全く無視したら? ええ人のいない世界があるとしたら? 人は心を凍りつかせたまま一生を終えなくてはならない。

 『潔白』という小説を読んだ。執行済みの死刑が濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)だったら…という話である。帯に「リアリティ溢(あふ)れる一気読み必至の骨太ミステリ」とあるが、本当にそうだった。1日で読んだ。そしてその日中重い気持ちになった。

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