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【話の肖像画】歌舞伎俳優・松本白鸚(4) ブロードウェーで拍手喝采

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【話の肖像画】
歌舞伎俳優・松本白鸚(4) ブロードウェーで拍手喝采

米ブロードウェーでの「ラ・マンチャの男」のカーテンコール(本人提供) 米ブロードウェーでの「ラ・マンチャの男」のカーテンコール(本人提供)

 ブロードウェーでの初舞台は、自分の鼓動が聞こえるほど緊張しました。無我夢中で演じ、カーテンコールで、米国では全く無名の27歳の俳優を拍手喝采で受け入れてくれたことに、心が震えました。外国人の中でただ一人、英語で歌ってしゃべって2時間半。日々、舞台上で燃焼し尽くし、ホテルに帰ると死んだように眠り、毎日起きると夕方でした。

 〈ドン・キホーテ役は、弁慶と並ぶ屈指の代表作となり、近年は演出も兼ねる。さらに「王様と私」でも平成2年に半年間、現地カンパニーの招聘(しょうへい)を受け、英ウエストエンドほか英国各地で、207ステージに主演した〉

 「ラ・マンチャ-」の主題歌「見果てぬ夢」を歌うとき、いつも2人の男を思います。この歌には(東宝の重役で劇作家・演出家)菊田一夫と父、初代白鸚という男の夢が詰まっている。菊田先生はミュージカル俳優としての私を産み、育ててくれた。父は私を高麗屋(こうらいや)の跡取りと認めた上で、米国で見た「ラ・マンチャ-」を私にやらせようと菊田先生に懇願して上演権を得てもらい、ブロードウェーに行かせてくれた。いわば2人の男が、私に“見果てぬ夢”を歌わせてくれた。

 この歌を1200回以上、舞台で歌ってきましたが、それは2人の男への、レクイエム(鎮魂歌)でもあるんです。(聞き手 飯塚友子)

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