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吉野辰海の新作展 この世の生命を犬に仮託

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吉野辰海の新作展 この世の生命を犬に仮託

「SCREW 77×1/1」 「SCREW 77×1/1」

 頭部だけの作品もある。正面から見ると、なんとなくとぼけている。左右の横顔の印象は異なり、一方は悲しそうで、もう一方は温和。見る位置だけでなく、鑑賞者によっても見え方は異なるだろう。どうにでも解釈できるのがいい。長い首はわずかにねじれを見せ、頭のてっぺんにはなぜか真っ赤な唐辛子が突き刺さっている。

 「唐辛子は覚醒効果の意味がある。唐辛子を立体化する作家はいないから」

 意味があるようでなさそうな、ナンセンスな味わい。会場には唐辛子のカラフルでポップな作品もあり、にぎやかだ。

 高揚した精神で老いても旺盛に制作を続ける吉野。やせこけシワだらけの老犬は、作者自身の投影された姿なのだろう。“考える犬”は甘く見たら不意にかみついてきそうだ。(渋沢和彦)

                   ◇

 「吉野辰海新作展」は24日まで、日曜休。ギャラリー58(電)03・3561・9177。

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