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閻連科さん 長編「硬きこと水のごとし」 革命の高揚と性の陶酔、赤裸々に

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閻連科さん 長編「硬きこと水のごとし」 革命の高揚と性の陶酔、赤裸々に

午前中に2時間半ほど執筆するスタイル。「短い時間しか書かない。その分、必ず毎日書き続けます」と話す中国人作家、閻連科さん(飯田英男撮影) 午前中に2時間半ほど執筆するスタイル。「短い時間しか書かない。その分、必ず毎日書き続けます」と話す中国人作家、閻連科さん(飯田英男撮影)

 奇想と笑いに満ちた物語で社会の不条理に迫っていく中国人作家、閻連科(えんれんか)さん(59)は近年ノーベル文学賞の有力候補とも目される。昨年末に邦訳版が出た長編『硬きこと水のごとし』(谷川毅訳、河出書房新社)は革命運動に身を投じた若い男女の物語。革命と性愛、現実と創作との距離、検閲-。来日した作家が丁寧に語ってくれた。(海老沢類)

                  

 「あの頃をとても懐かしく思います」。1980年代に創作を始めた閻連科さんが本作を発表したのは2001年。当時、内容の「猥褻(わいせつ)さ」が批判されたが、発禁処分にはならなかった。

 「あまり悩まず短時間で書けたし(当局から)大きな制約も受けなかった。90年代後半から2000年代前半は、私個人の執筆の勢いと中国の言論環境の良さがちょうど重なった理想的な時期だったんです」

 ◆信仰の階段

 物語は、共産党内の路線対立に端を発し中国を大混乱に陥れた文化大革命(文革)が背景になっている。

 人民解放軍から故郷の村に復員してきた高愛軍(こうあいぐん)は美しい人妻、夏紅梅(かこうばい)に魅了される。「俺たち一緒に革命しよう」。農民から末は高級幹部へ-。愛を確かめ合い、革命に未来を託す2人は若者たちを扇動し村の幹部を追放。互いの夫婦すら犠牲にし実権に近づいていく。そんな欲と暴力にまみれた闘争が、革命を主導した毛沢東の言葉を大量に引用しながら織りあげられる。

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