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【正論】世界に抜きんでた優秀な勤労者を育てた教育 「共通テスト」は日本の強み培うか 社会学者・関西大学東京センター長・竹内洋

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【正論】
世界に抜きんでた優秀な勤労者を育てた教育 「共通テスト」は日本の強み培うか 社会学者・関西大学東京センター長・竹内洋

社会学者・関西大学東京センター長・竹内洋氏(栗橋隆悦撮影) 社会学者・関西大学東京センター長・竹内洋氏(栗橋隆悦撮影)

 ところが基礎学力中・下位層では、知識や技能(だけで)は新しい時代に適応できないという雰囲気に惑わされることにはならないだろうか。人間は自分の都合の悪いことはスルーし、都合のよいことに食いつき、改変するからだ。この層に知識・技能の習得という地味な努力の軽視が起こりやすくなることを懸念するものである。

 実際、新しい学力観にもとづいて学校は討論型授業、総合学習、体験学習などをそろえた。コミュニケーション能力などが新しい学力だとされ、従来型学力では、21世紀社会を生き抜き、社会を機能させていくことは不十分であるとされた。その頃から大学では、次のようなことが起こっている。

 新入生のための基礎ゼミで本を読ませようとすると、こんな反応が返ってくることがある。「先生、本など読むよりディスカッションにしましょうよ」。なるほど「新しい学力」世代の学生は総合学習などで話し慣れし、大勢の前で臆せず自分の意見を言う。昔の学生と大違いである。しかし、基礎知識が十分でないところで社会問題を論じるから、井戸端会議か雑談の類いになりがちである。

≪人に厚みを生む教育の伝統守れ≫

 『論語』に「学びて思わざれば、すなわち罔(くら)し。思いて学ばざれば、すなわち殆(あやう)し」という有名な言葉がある。

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